難しいと思わないで、是非読み進めてください! 私には、とても難しい内容ではありましたが・・・
第67回藤原賞藤原科学財団(理事長=加来正年・王子ホールディングス取締役)による学術賞。
財団は、旧王子製紙(現・王子ホールディングス、日本製紙)の発展に努め、製紙王と呼ばれた藤原銀次郎氏が、正力松太郎・読売新聞社主(当時)の協力で1959年に設立した。副賞は各2000万円で贈呈式は6月17日(銀次郎の誕生日、毎年の恒例)、東京都千代田区の学士会館で開催された。
第67回藤原賞常任選考委員▽広川信隆・東京大名誉教授(委員長)▽十倉好紀・東京大特別栄誉教授▽相田卓三・東京大卓越教授▽細野秀雄・東京科学大栄誉教授▽藤吉好則・東京科学大特任教授
無限次元の対称性の数学的研究幾何・解析・代数学つなぐ理論小林俊行氏 東大教授
25歳での気づきから数学の「宝物」にあふれた新領域を開き、理論的基盤を築いた。
「無限次元表現の分岐則理論」「リーマン幾何学を超えた不連続群の大域幾何学」の2領域を核とする膨大な論文は幾何学・解析学・代数学の全分野に影響し、現代数学を先導する。
兵庫・灘高で15歳の頃、「人の模倣でなく根源的なものを創造したい」と考えた。東大1年から数学に傾倒し、過去の誰かが考えた難問を解くより、数学の新領域を開き自分で新しい問題を作ることを夢見た。
大学4年のゼミは解析学の大島利雄教授と1対1。高名な数学者の専門書を「説明するだけでは先生に失礼」と考え、論理の一般化の試みや新規の発見を探して毎週発表した。和室に座りノートを週に何冊も書きつぶして、痛む足の甲にスポンジを当て計算した。
大学院1年の頃から大島教授の研究を無限次元化することを考え始めた。難解すぎて当時、世界でも手つかずの領域だった。25歳の時、海辺で思案して、6次元で不思議な現象の成立に気づく。
「ラジオの雑音のような混沌の世界に初めて澄んだ美しい音が聞こえた」。
そこから5年以上考えて「対称性の破れ」を軸にする発想の転換で理論化に成功し、その仕組みを第1論文は幾何、第2論文は解析、第3論文は代数を使って解明。3分野にまたがる理論を98年までに構築した。
その後の10年で、無重複が生じる仕組みも解明した。物理学が分子、原子、素粒子と物の最小単位を追究して新しい地平を開いたように、無限次元を最小単位に砕き、すべて異なる性質の重複がない砕け方にできると、新しい数学の領域が開ける。「無限次元も、二度と同じものが現れない一期一会が大切なんです」
さらに数学的に「木を見て森を見る」、一部分(局所)と全体(大域)の性質をつなぐ研究で、相対性理論が表した距離のない幾何の世界でも説明できる一般理論を構築。
その後も独創的な発想で数学を発展させ続けた。「ライバルがおらず、じっくり研究をすすめられましたね」。
小林理論は幾何・解析・代数のどの研究者も「新大陸の宝探し」に参加できる間口の広さがあり、ある海外の数学者は「新しい研究所を建て500人の数学者を雇う必要がある」と驚嘆したという。
一つの研究に着想から理論化、論文発表まで10年単位。複数の研究を並行させるので、「数年後に何を発表しているかもわかりません」。確かなことは「120歳、130歳になっても数学を研究したい」。
革新的イオニクス材料創成と全固体電池の実現液体に匹敵 高出力の電解質菅野了次氏 東京科学大特命教授
スマートフォンやパソコンなどに使われているリチウムイオン電池は、電流を流す役割を果たす電解質に可燃性の液体を使っている。「固体」は電池の材料には向かないと考えられてきたが、リチウムイオン電池に匹敵する固体の電解質を発見し、よりパワフルで安全性も向上した「全固体電池」実現に道筋をつけた。
電気自動車(EV)への搭載など、次世代電池の本命として期待されている。
「元々は物質の合成屋。どうすればイオンがよく動くか、新しいものを探すことが純粋に楽しかった」。大阪大大学院では無機材料の合成を研究していたが、三重大で電気化学の研究室の助手になったことがきっかけで、固体電解質の研究を始めた。
電池は正極と負極、電解質からなる。電解質は正極と負極の間で電気を帯びた状態の原子(イオン)を受け渡す役割を担っており、イオンの流れやすさを示す「伝導率」が高いほど電池のパワーも上がる。ただ、液体に比べて固体の電解質の中ではイオンは流れにくいことが欠点とされてきた。
数多くの物質を合成する中で、伝導率が高い硫黄系の結晶構造に着目。東京工業大の教授だった2011年、液体電解質に匹敵する伝導率を持つ、リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄からなる固体電解質(LGPS)を発表した。
さらに2016年には、物質を一部入れ替えて性能を改善。全固体電池が、既存のリチウムイオン電池の2倍以上の高出力を発揮できることや、100度以上からマイナス30度まで幅広い温度で使えることを、世界で初めて実証した。
こうした基礎研究をもとに、既に小型の全固体電池は実用化されている。大型のものもEVのバッテリーとして航続距離が延びることなどが期待されており、大手自動車メーカーによる数年後の実用化が視野に入る。
実現すれば電気自動車の普及が進み、脱炭素社会にも貢献できる技術となるが、製造工程などの課題は残る。
「企業と一緒に課題を解決し、より良い材料を探し続けたい。電池の性能がさらに向上すれば、ロボットや飛行機などこれまでにない新たな用途も広がっていくだろう」。
(2026・6・1 サイエンスReport から)
(人''▽`)ありがとう☆ございました






































































