ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。
紹介するのは
「テンプレート式 理系の英語論文術」(中山裕木子)です。
この本も、正直なところ「英検1級を圧倒」するほど魅力にあふれているかというと、そこまではいえません。
また、英検1級のエッセイ対策としても、主参考書として使うべきとまでは、いえません。もっと、受験に密着した問題集や関連書籍を使った方が合格により近づけるでしょう。
しかしながら、英検1級を1発で受かった自分からすれば、自分が受験した数年前にこれがあれば、より楽だったかもしれないと思わせる力がありました。
1.タイトルの付け方から始まり、文章全体のテンプレートまで用意してくれている。
タイトルの付け方については①キーワードを決めて、➁名詞の単複と冠詞を整える、③最後に配置してつなぐなど懇切丁寧にやり方を説明してくれています。
そして、論文の始まりから最後まで「テンプレート」と称して基本的な枠組みまで教えてくれています。
極端に言えば、このテンプレートに沿って、あとは自分の実験や調査に関する名詞をこの中に次々に埋め込んでしまえば、英語論文が瞬く間にできてしまう、といった作り込みまでが用意されています。
ここまでは、本当の科学系論文を書くこともない、フツーの人にはあまりメリットが感じられないかもしれません。
本ブログ筆者が目をひらかされたのが、下に掲げる二つのポイントでした。
2.日本人が英作文をするときについ犯しがちな間違いと正しい例文と比較しながら説明してくれている。
たとえば、
「本研究では、言葉の模倣がオンライン投稿におけるお互いの承認をどのようにするかを明らかにしたい」
といった和文を英訳するにつき、二つの文例がこんな風に提示されています。
×In this study, we would like to find...
〇This study focuses on finding the connection between (以下原文は続きますが、略します)
つまり、好ましくない文例と好ましい文例が比較対照されているのです。このあたりは、類書には見られなかったところではないでしょうか。一目で違いがわかりますし、簡明な解説文も付けられています。
もっと基本的なButを文頭に用いないで(口語ならOK)、Howeverに置き換えるべきことやコロン、セミコロン、の使い分けも的確な説明がされています。
3.自動翻訳のメリットと限界についても詳しく説明してくれている。
この本は2023年9月初版であることからわかるとおり、昨今の機械翻訳についても、用語の非一貫性や突然口語的な翻訳になったり、不適切な主語を出現させてしまうことなどにつき、DeepL翻訳で出てきた実際の英文をまな板に載せながら事細かに解説してくれています。
いやただ解説するだけでなく、そういう変な翻訳を目の前にした場合、読者がどう修正すればいいか、修正後にはどんな英文になるかまでも教えてくれています。
したがって、英検準1級レベル以上の方は、「そうはいっても、自分は文系だから、関係ないな」などと決めつけず、立ち読みくらいはしてみることをおすすめします。
以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。
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