ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。
紹介するのは
「パッと引ける!医療現場で役立つ英会話」(医療法人徳洲会 湘南鎌倉総合病院監修 日本医療通訳アカデミー講師 飯田恵子/ジュリア・クネゼヴィッチ著)です。
この本は、正直なところ「英検1級を圧倒」するほど魅力にあふれているかというと、そこまではいえません。
しかし、実際手に取って開いて見てみると、意外に使いがいがあるので、紹介してみることにしました。
そもそも世の中の英会話本を見ると、「この本に載っているような状況で自分が英語をしゃべることがあるだろうか」と首をかげてしまうページが多々あるのではないでしょうか。
設定が自分の働いていたり、英語をやりとりする毎日の環境とはかけ離れているケースが少なかったりするでしょう。
その点、この本は、あくまでも日本人の医療スタッフがどうすれば、外国人患者と英語のやりとりを円滑にできるかという視点から書かれているので、看護師やら受付の職員には実用この上ないようになっています。
実は、本ブログの筆者のように、自分が海外に旅行したときにどう自分のケガや症状を伝えるかに置き換えて読んでみることもできる。その点でも実用的なのです。
具体的に見ていきます。
①本書の魅力その1
まず、外来受付対応から始まり、入院手続きや、各検査の説明の仕方、容貌の断り方など、1テーマ、見開き2ページで完結するようになっています。
だから自分の使えそうなところだけを簡単に見つけて、即練習できます。しかもその練習のためのくふうが凝らされています。
というのは、各見開きの右上にはQRコードが必ずついており、同2ページの会話音声のやりとりをスマホで聞くことができるようになっています。それを聞きながら、ひとりで会話を磨くことができます。
従来、英会話本はCDを付録につけるのが一般的でしたが、これはこれでスマホに入れるまでひと手間二手間かかかりました。その点でも、利便性が高いと言えます。
➁本書の魅力その2
会話で重要なのは、いかに自分の持っている語彙で対応できるかだと思います。この点についても本書では工夫が凝らされています。
あとがきから、引用してみましょう。
例えば、採決時に「アルコールにカブレませんか?」と質問したい場合、「カブレるって何というのかな?」と日本語にこだわっているとピッタリの表現が見つからなかったり、また表現できたとしても英語ネイティブの方にとって不自然な表現だったりします。
ですが、カブレ=アレルギーと考えることができれば「アルコールにアレルギーはありませんか?」という自然で簡単な英語が出てきます。
実際、本書では痛いとかもっと痛いとったた表現について、It hurts.やmore painfulとか、別の表現を散りばめてあります。
下痢の直訳もあれば、言い換えの仕方も載せてあります。
③本書の魅力その3
日本人が使いがちな「…ではありませんか?」のような否定疑問を英訳すると、返事の時にYesとNoをあべこべにしかねない。
すなわち、患者から「I don't have cancer? (私はガンではないですか?」と聞かれたとき、がんではないと伝えるのであれば、No(いいえ)から始まる否定文に首尾一貫しなければならないのに、日本人はついYesで答えがちなところにも、そうしないように注意してくれています。
学校時代に文法で習った正しい英語の伝え方しだいで、人の人生を左右しかねないところを見せつけられる、まさに典型例ではないでしょうか。
基礎的な知識を呼び覚ましてもくれます。
以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。