英検1級を圧倒したこの1冊【11】「科学的」は武器になる 世界を生き抜くための思考法 | ひとときのときのひと

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外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
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そんな人間が、ためになる言葉を発信します。
だいたい毎日。



まずは英語から。

 ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。

 

 紹介するのは、この本、

 

 

「『科学的』は武器になる 世界を生き抜くための思考法」です。

 

 著者は物理学者であり、バイオリンのスズキ・メソードの会長である早野龍太。最近出版された新潮文庫版を手に取ってみました。

 

 「科学的」は武器になる、とタイトルにあるように、人が生きていく中でいかにデータや裏付けをもとに思考や行動を進めていくべきかについて書かれている一方で、過去のデータで未来を予測する愚は犯してならないという注意もきめ細かに実例を挙げ紹介されています。

 

 まさに科学の最先端を走ってきた第一人者が自分の人生の歩みをもとに書き進めたエッセイですが、本ブログの筆者が注目したのは、こんなところにありました。

 

 それは、冒頭記したように彼がバイオリンを幼少期から習っており、また、スズキ・メソードの創始者である鈴木慎一からじきじきに教えを受けているという事実です、

 

 スズキ・メソードといえば、バイオリン教育の「革命的教授法」として戦後現われ、瞬く間に世界にまで広がったことで有名です。

 

 ところが、その鈴木慎一氏が、幼少期の著者、早野くんに、いや、他の生徒たちにも何とレッスン直前に問いかけていたか。

 

 実は、

 

「練習してきましたか」

 

と言っていたそうです

 

 少し引用してみましょう。

 

 一番怖かったのは、「練習してきましたか?」という質問です。練習をちゃんとしていない、食後に何回かさぼってしまったとか、思ったほどにはやってない、という時は、自分がそれを一番よく知っています。先週来た時から比べて、自分が進歩しているか、していないかは自分で分かっている。そこで「はい」と答えるか、「いいえ」と答えるのかは、こども心に、ものすごい重圧でした。

 

 いかがでしょうか。

 

 ここに、自分は英語学習、英会話教室に対する強い問いかけを感じます。

 

 すなわち、いま、どれだけの英語の先生や英会話の先生が、この

 

「練習してきましたか」

 

 という真摯(しんし)な言葉を生徒に投げかけているでしょうか。

 

 もちろん、そういう方もいらっしゃることはいらっしゃるかもしれません。が、たいていはそうではないと推測しています。

 

 なぜか。

 

 そんなことをしていたら、お客さまである生徒の大半が来てくれなくなるからです。英会話学校の商売が成り立たなくなるからです。

 

 その証拠に大手の英会話教室はもちろん、いや個人レベルの教室や学校でも、楽しい、おもしろい、長続きするといった「魅力的な」ことばを宣伝文句にしています。

 

 が、果たしてどのくらいの方が鈴木慎一のような鋭いひとことを生徒に投げかけているでしょうか。

 

 そこまで本当に真剣に生徒の上達に賭けているでしょうか。

 

 したがって、このブログを読んで「いいね!」をした英会話教室の先生がいらっしゃるとしたら、その方は、鈴木慎一と同じくらい「本物」の教育者の一人とみなせるのかもしれません。

 

 また、「練習してきましたか」と先生から言われないことをいいことに、まったくのほほんとしているお客様とか生徒さんも、このあたり、ご自身の学習姿勢を見つめ直すきっかけ位にしては、いかがでしょうか。

 

 なにやら厳しいことばかり申し上げているかもしれません。

 

 しかし、英語力の進化、英会話の上達は、そんなに「楽しい」「おもしろい」では実現できっこありません。

 

 そう、アラカンにして英検1級1発合格者としての経験を根拠にに、はっきりと申し上げます。

 

 この本には、他にも先へ先へと読み進めたくなる引力のようなものがあります。

 

 たとえば、著者が物理の才能を有しながらも、運命に翻弄されつつ、それを逆に利用してたくましく生きていく話や、「ほぼ日」の創業者、糸井重里氏との一風変わった交流の話も読んでみる価値があります。

 

 以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。