ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習について手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。
紹介するのは、この
「『やりがいのある仕事』という幻想」(森 博嗣著)です。作家であり工学博士でもあるところに興味惹かれますが、本ブログの筆者と殆ど年齢が同じ、つまりアラカンでもあることから、手に取ってみました。
これも、ひとつ前に紹介した本「自分はバカかもしれないと思ったときに読む本」のように、なかなかインパクトのあるタイトルを掲げています。
実際読んでみると「うなづかされる文章」が目白押し。というと大げさかもしれませんが。
もともと、この自分自身、本著作を読む前から「やりがい」とか言うものに対する強い違和感がありました。
「生きがい」とかも「やりがい」とかと同じように、なるべく自分からは使わないようにしています。
なぜか。
人間とは、ロボットとか機械ではないではありませんか。
「やりがい」とか「生きがい」というコインをチャリンとのみ込めば、自動販売機のようにゴロンとばかりに自分の体から「満足」だか「快感」だかが、必ず出てきてくれる。
それはそれで、うれしいんだか気持ちいいんだか、まあいいようなものの、いつも、こんなんでは、悲しくないか。よく耳をすませてみろよ。
と思うのです。
人間てのは、そんな単純なものではないでしょう。好きな人に嫌いな振りをしたり、その逆だったり、してしまうものではないでしょうか。チャリン、ゴロンではないだろう。
と常日頃感じているのです。
しかし、そんな自分の思いよりも、もっと痛切にもっと厳しくもっと辛らつに、この本では「やりがいなんて求めたり、すがったりするのはやめておけ」といったパンチが繰り出されます。
そして、この仕事ということばを英語に置き換えるともっと切実なことを語ってくれる気がするのです。
以下、傍線部が引用です。仕事ということばを英語に置き換えて読んでみてください。
ただし、「好きだから」という理由で仕事を選ぶと、それが嫌いになったときに困ったことになる。人の心は、ずっと同じではない。どんどん変わるものだ。嫌いになったり、厭きたときに仕事を辞めてしまうのでは、効率が悪い。「好き」で選ぶことは、ここが問題点といえる。
さらに大きな問題点は食べ物のよいに好きか嫌いかということが、仕事の場合は事前によくわからない、という点にあるだろ、う。
若い人たちが、就職活動をするときに、自分の好きな仕事がしたいと思うのは、とても自然なことだけれど、では、自分が何が好きなのか、と考えてもきっとよくわからない場合が多いのではないか。
いかがでしょうか。
すなわち、「好きだから」で英語を学ぶのはかまわないものの、人の気持ちは変わりやすい、いつまでも「好きだから」ではいられないことは往々にあり得るでしょう。
また、英語が好きというのも、食べ物などと違って本当にそうなのかどうか。半ば無理して「好きだ」といっているのではないでしょうか。胸に手をあてて一度よく考えてみてください。
いったい、いつの日から日本人は、こうした「好きだから英語」とか「楽しいから英語」といった、「甘ったるい」片思いを学びの燃料とするようになってしまったのでしょうか。
もちろん、人から言われて勉強するよりは、自分でやる気になって学ぶ方が、効率がいいのかもしれません。しかし、だからといって、いちいち「好き」だの「やりがい」だの「生きがい」だのといった看板を背負う必要があるのか、本ブログ筆者は疑問に思います。
だいたい仕事も英語も、あくまでもツールであって、それそのものが目的で生きていくなんて、もったいなさすぎませんか?
ここまで申し上げてもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、ついつい生きがいだのやりがいとかにこだわってしまいがちな方は。この本を一度開いてみることをおすすめします。
圧倒されること間違いなしです。
以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、
あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。