本ブログでは、英検1級1発合格のためのヒントを中心に紹介しています。
が、筆者は、この国にはあまりにも英検1級やTOEIC高得点取得にこだわり過ぎる傾向があり、そこに非常に疑問というか懸念を感じています。
もっと他にすることがあるでしょう、と言った意味の懸念とか
いつまでそんな内向きの努力を続けているのですか、といった疑問がぬぐい切れないのです。
このあたりについては、↓をぜひご一読願います。
もちろん、そういった資格や高得点追求に向けての努力を全否定するわけではありません。また、TOEICや英検専門の先生方の姿勢に特別な注文をつけようというわけでもありません。
しかし、英語上達者の社会的責任がもう少し重視されていいのではないかと思うのです。
そこで、いままで、下掲のような日本で翻訳されていない本、一流アスリートやミュージシャンの自叙伝から歴史研究などを一部和訳して細々とではありますが、紹介してきました。興味ある方はぜひご一読願います。
そして、これらに続いて、昨年夏に刊行されたこの↓一冊、Road to surrenderについても紹介をしようと予告はしていました。↓
しかし、投稿が遅くなってしまいました。
なぜか。
それは、この本を読んでいくうちに、あまりにも記載内容に間違いや不見識が多いことに気づかされたからです。
もともとこの本は、
1.先の大戦の終戦間際における、日米政府の動向をノンフィクションスタイルで描きつつ、
2.原爆の使用は日本に無条件降伏をのませるためには、不可欠であったし、
3.中でも国体護持にこだわり無条件降伏をよしとしない政府内のライバルを東郷茂徳(当時の外務大臣)が押し戻した動きが重要だった。そのことは、最近、筆者が独自入手した東郷の日記から裏付けられている。
という趣旨で書かれています。
しかし、米国政府内部に関する描写はともかくとして、日本側に関する記載は、誤解誤認が目立ちます。
たとえば、
1.血盟団事件という昭和初期に起きたテロ事件
についての記載を見てみましょう。
血盟団事件で殺されたのは団琢磨(三井財閥の総帥)と井上準一郎(元蔵相)です。にもかかわらず、この二人ではなく、五・一五事件で殺された犬養毅(当時首相)の名前が間違って記述されています。
ついでに、邸に侵入した陸軍将校らにむかってこの犬養毅が口にしたと言われる名セリフ「話せばわかる」も、この血盟団事件の記載の中に混じって記載されています。
2.それ以外にも、「二・二六事件で決起した将校たちは赤穂浪士のまねをしたのだ」とか、「二・二六事件や五・一五事件などの青年将校による反乱は下克上であり、当時、広く受け入れられていた」とか「鈴木貫太郎首相(終戦期)はこうした下克上を経験している」といった、日本人としては首をかしげざるをえない、分析も散見されるのです。
本文300頁程度の本なのですが、その約3分の1である120頁だけを見てもこんな状態なのです。
いまから40年くらい前、海外の教科書で当時の日本がいかに間違って紹介されているのかを雑誌が紹介しているのを記事で見たことがあります。
ある国の教科書では、日本の子供が着物を着て(ここまではいいとしても)たこ揚げする様子がイラスト化されていました。
ところが、糸の先のたこが、なんと「こいのぼり」の「こい」になっていました。こいのぼりをたこあげしているという、日本人からすれば、絶対にありえない、珍妙な光景です。
この本に散見される事実誤認や荒唐無稽と言ってもいい分析にも、この「こいのぼりたこあげイラスト」を見せられた時と同様の困惑を感じてしまいます。
当初は、この本の内容と読後感なり書評を本ブログの読者に共有しようと考えていましたが、切り口を変えなければならないと考えるに至りました。その決断をするのに時間がかかってしまったのです。
これから数回に分けて「いかに米国の著述家が日本を知らずに分析したり、批評しているか」に焦点を変えて、そして、そのことを英語が多少読める人間の社会的責務として果たしていこうと考えています。
これを知れば得するとか合格に近づくとか儲かるといった切り口ではありませんが、ぜひとも英検1級受験ノウハウ紹介同様、お付き合いくださることをお願いします。
続きはこちら↓でどうぞ。