外国人にNo!を言えないままでは、先が無い、たぶん | ひとときのときのひと

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広告業界で鍛えたから、読み応えのある文が書ける。
外資系で英語を再開し、アラカンでも英検1級1発合格。
警備業界にいたから、この国の安全について語りたい。

そんな人間が、ためになる言葉を発信します。
だいたい毎日。



まずは英語から。

 ここでは、英検に限らず、もう少し切り口を拡げ、「ためになる英語」について説明をしていきます。

 

 まだ自分が「英語屋」になる前の、しくじり話を↓で紹介しましたが、

 これから記すのは、もう少し後になってからの話です。

 

 このときも、まだTOEICも英検も何も勉強していない、ビジネス英語のビの字も知りません。

 

 海外セレブの子女が一堂に会するという、あるイベント取材のために、複数のスタッフとパリを訪れました。2000年ごろです。取材中は、日本人のフランス語通訳を付けていましたが、夕食時には帰ってしまっています。

 

 誰もフランス語もしゃべれない、英語もおぼつかないのに、我々は地場のレストランに入りました。予想外に、料理は問題なく出てきたし、味もまあまあといったところでした。

 

 さて、そこに、いつの間にか、レストランの中に流しのアコーディオン弾きと歌手みたいなの(二人とも男)が来て、盛んにアピールするのですが、どのテーブルでも(現地のフランス人に)嫌われているというか、より付かせてもらえない。

 

 仕方なく?我々のテーブルにやってきて、歌と演奏を始めます。ただ、うるさいだけの音楽。

 

 後で法外な金額をふっかけられてはたまらない。と感じた我々スタッフ全員は、この二人になんとかお引き取りを願おうと、身振り手振りで伝えようとはしました。しかし、相手はどこ吹く風。むしろ、その身振り手振りを「受けている証拠」と見ているかのようなのでした。

 

 数分後、やっと彼らはその場を立ち去り、他の店に向かいました。我々も余計な費用を払わずにすみました。しかし、やはりどこか「なめられていた感」は否めず、少なくとも自分にとっては後味の悪い夜として記憶に残っています。

 

 その翌々日は、自分だけがこの取材を切り上げ東京に戻ることになっていました。ホテルの前からタクシーに乗って空港に向かったのですが、このときも自分はどこか「へらへら」していたのでしょう。しなくてもいい、しょぼい英語でのおしゃべりで、です。

 

 つまり、自分は、フランス人運転手にすっかり「気に入られてしまった」のでした。挙句に運転中の彼がで問いかけたのがなんと、

 

 May  I smoke? (タバコ吸っていいかな?)

 

 でした。

 

 

 おいおい、そう来るかよ。

 

 しかし、ここでまた外国人に自分が「迎合している」と見られてはならない。何としてもそれは、避けよう。自分がタバコが好きかとか嫌いとか言った問題ではない。ここは、断るしかない。断固断るのだ。

 

 そう決めて、はっきりと言ったのです。

 

 No!

 

 その後に何と言ったのかは覚えていません。とはいえ、ぶっきらぼうに、No!の一言だけを発するのではなく、もう一言二言は英語で伝えました。

 

 たぶん、「車内でこれから仕事をしなくてはならない。忙しいんだ。邪魔をしないでほしい」といった内容だったと記憶しています。

 

 運転手は、あっそう、といった感じで引き下がり、自分はといえば、本当は用事と言えるほどの用事は無いのに、手持ちのカバンから電卓を出して、でたらめにぱちぱちとボタンを押し続けました。数十分の間、ずっとです。車内は、それきり空港に着くまで、シーンとしていました。

 

 自分がビジネス英語のスキルを身に付けるのは、もう少し先ではありました。が、この「ちょっとした勇気」あるいは「あえて空気読まない技術」は、15年以上の「英語屋」生活を経た今も毎日、磨いています。

 

 日本人の付和雷同しやすいことを思えば、外国人と英語でしゃべるとき、ついえへらえへらしてしまいがちなことを思えば、それは、ごく当たり前ではないでしょうか。

 

  以上、英語の出来不出来にかかわらず、外国人にはっきりとNo!を言う気概を持つこと。その重要性につき、20年以上前の回想をもとにお伝えしてみました。

 

 あなたの英語上達のヒントになれば、幸いです。