ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」について説明をしています。
それは、フツーの遅咲き英語学習者は、日常会話の錬成に時間を費やすより、仕事で使う英語、ビジネス英語上達に注力した方がいい、という考えです。
しかし、ビジネス英語をやるように転職や人事異動などで求めれているアラフォーやアラフィフは、中途半端に日常会話をやるよりも、ビジネス英語の習得に集中することをおすすめします。
なぜか。
それは、日常会話がビジネス英語より格段に難しいからです。
再び、なぜか。
なぜ難しいのか。どこが難しいのか。
それは、背景となる文化、風習が日本とあちらでは大きく異なるからです。
誤解を恐れずに言えば、日本人が通常、日常英会話として習わされるものは、ほとんどの場合、「日本人の世界観」や「日本人が知っている知識」を中心にした英会話です。
数年前のショパンコンクールを例にして続けます。
このコンクールででは、あの反田恭平氏が2位となり、のちに反田氏の夫人となる小林愛実氏が4位となりました。これは、日本人にとっては相当な快挙であり、そのことを世界に知らしめた「事件」ではありました。
また、このとき、コンテスト中の演奏がほぼすべて動画でネットで配信されたのですが、この反田氏は、現地のインタビュアーに対して通訳なしで、英語で堂々と自分の考えを述べていました。これも、相当画期的なことではあった。
いままでこんなにさらさらと自分の夢や将来像に関して、自慢にもならず、といって謙遜もせず、さらりと英語で言えた有名人を自分は見たことがありません(しいて言えば、中田英寿くらいでしょうか)。
ただし、反田氏は、「自分はピアニストだけではなく、指揮者としてもさらにステップアップしていきたい。大リーグで大谷翔平選手が投手と打者の両方で実績を残しているように」と語っていました。
日本人なら至極わかりやすいたとえででしょう。
一方、周りの欧米系外国人ピアニストは、みなキョトンしていました(少なくとも、自分にはそう見えました)。
なぜか。
それは、日本人ならともかく、欧米系の外国人ピアニストはもともと大リーグを見ていないし、野球も見ていないし、大谷翔平を知らないからです。
そこには背景となる知識の有無が話す側と聞く側の間に横たわっています。
だから、いまひとつ話が見えずに、まわりはきょとんとしてしまったのだと推測しています。
反田氏がなにか間違ったことを言ったというのではありません。しかし、ここに日本的世界の捉え方を必ずしも、外国人も同様にしていないという現象が如実に表れていました。
言い換えれば、「深い文化的海溝」を意識せずに、そこを十分埋めることなく、日常英会話などしてみても、本当の意味での日常英会話にはなりにくいのです。
したがって、日常会話を追求する時間があったとしても、それは、いったん二の次にして(やるなとまではいいません)さっさとビジネス英語でに集中した方がよほど効率的です。
もちろん、「先週末何したの?」とかいった定番的日常会話を学んだり使うことまで、押さえる必要はありません。
しかし、そんな定番以外の日常会話を追求したつもりで外国人に「きょとん」とされるくらいなら、さっさと英文メールの書き方でもいい、会議英語に使えそうな文章を言えるようにするとか、した方が無駄な骨折りにならないと申し上げたいのです。
以上、英語や英会話の参考書には記載されていないかのしれませんが、少しでも「ためになる英語」を身に付けるためのヒントとして読んでいただければ、幸いに思います。