
先の日程を埋めるのがイヤなのは、わがままでも怠けでもありません
こんにちは、源 ゆうです。
心からの祈りとともに、このメッセージをあなたに届けます。
あなたはこんなふうに感じたことはありませんか?
・何ヶ月も先の予定を入れると、なんだかザワザワする
・カレンダーが予定でびっしりになると、息苦しくなる
・「来月のこの日、空けといてね」と言われると、なぜかモヤっとする
真面目で、責任感があって、人に優しい人ほど、
実は「先の予定を埋めること」に抵抗を感じやすい、と言われています。
今日は、その理由を心理学・脳科学の研究をもとに、分かりやすくお話しします。
自分を責める材料ではなく、「あ、そういう仕組みだったのか」と理解してあげるために。
先の日程を入れたくない心理には、大きく六つの要因が関わりやすいと考えられています。
一つずつ見ていきましょう。
1 「どうなるか分からない」が不安を呼ぶ
不確実性への弱さ
人の不安を研究している心理学では、「不確実性への耐性(intolerance of uncertainty)」という概念があります。
これは、「先のことがハッキリ分からない状態に、どれくらい耐えられるか」を示すものです。
先の予定を入れるということは、
「その日、自分がどうなっているか分からないのに、今、決める」ということでもあります。
・体調はどうだろう
・気分はどうだろう
・家族の状況は?
・仕事は落ち着いている?
こうした「分からない」が重なると、
もともと不安が強く出やすい人ほど、予定そのものがストレス源になります。
研究でも、
「不確実な状況を強く嫌う人ほど、不安や心配が増えやすい」
ということが繰り返し報告されています。
だから、先の予定を入れるのがしんどいのは、
単に「気まぐれ」なのではなく、脳と心の特性の問題でもあるのです。
2 「自由を奪われたくない」
自律性のニーズが傷つくとき
人間の動機づけを説明する「自己決定理論(Self-Determination Theory)」では、
人が健やかに生きるためには、次の三つのニーズが大事だと言われています。
・自分で選んでいる感覚(自律性)
・できる・成長している感覚(有能さ)
・人とつながっている感覚(関係性)
カレンダーが他人の予定で埋まっていくとき、
人は「自分で選べていない」「勝手に決められている」と感じやすくなります。
これは、自律性のニーズが脅かされている状態。
このニーズが満たされないと、ストレスや無力感が高まりやすいことが、多くの研究で示されています。
だからこそ、先の日程を入れるときほど、
「これは本当に自分の意志で選んだ予定か?」
「どこまでが“役割”で、どこからが“自分の気持ち”か?」
を確認してあげる必要があります。
3 完璧じゃない未来なら、決めたくない
完璧主義の影響
完璧主義の研究では、
「完全でありたい」「失敗したくない」という気持ちが強い人ほど、
不安・抑うつ・ストレスといった症状が出やすいことが分かっています。
先の予定を入れるとき、完璧主義が強い人ほど、こんな思考になりがちです。
・その日、ベストコンディションじゃなかったら迷惑をかける
・ちゃんとできないなら、最初から約束しない方がいい
・できるか分からないのに「やります」とは言えない
その結果、「決めないでおこう」が一番安心、という選択になってしまう。
完璧主義とセットになりやすいのが、
「自己価値=ちゃんとできるかどうか」という思い込みです。
ここを少しずつ手放していくと、
「たとえコンディションが100%でなくても、その時の自分で対応すればいい」
という柔らかい感覚が持てるようになります。
4 単純に、もう疲れている
決断疲れという現象
毎日、細かい決断をたくさんしていると、
脳の「決める力」そのものが消耗していきます。
これを心理学では「決断疲れ(decision fatigue)」と呼び、
意思決定や自己コントロールには限りあるリソースがある、という仮説が検討されてきました。
・今日着る服を選ぶ
・返信するか後回しにするか
・何を食べるか
・どの仕事から片付けるか
こうした「小さな決断」の積み重ねのあとで、
さらに「数ヶ月先の予定」を決めようとすると、
脳としては「もうこれ以上決めたくない…」となっても不思議ではありません。
この場合のポイントは、性格の問題ではなく、
単純に「脳のスタミナの問題」だということ。
・ルーティンを決めて、決断の回数そのものを減らす
・疲れている時間帯には大事な予定を決めない
こういった工夫が、実験研究でも有効だと示されています。
5 過去のつらい経験が、未来の予定に影を落とす
以前に、こんな経験をしていないでしょうか。
・楽しみにしていた予定が、直前で壊れた
・先の約束を守れず、自分を強く責めた
・予定を入れたことで、人間関係がこじれた
こうした出来事は、小さなトラウマとして心に残り、
「また同じ思いをするくらいなら、最初から約束しない方が安全」
という学習を生んでしまうことがあります。
トラウマ研究でも、
特定の状況(例:予定、約束、人との関わり)が、
過去の痛みと結びついて回避行動につながることが多く報告されています。
この場合、「予定がイヤ」なのではなく、
「過去と同じ痛みを味わうのがイヤ」という、心の防衛反応なのです。
6 先延ばしという、もっともよくある“自己防衛”
重要な決断を「また今度にしよう」としてしまう現象は、
心理学では「プロクラステイネーション(先延ばし)」と呼ばれています。
最近の研究では、先延ばしは単なる怠けではなく、
不安・自信のなさ・失敗への恐れなどの“感情の逃避”として起きることが分かってきました。
・決めたら後戻りできない気がする
・失敗したときの自分を見るのが怖い
・「ちゃんとやれる自分」でいたい
こうした思いがあると、
脳は「今は決めない」という選択をして、短期的には安心させてくれます。
けれど、その安心は短命で、
先送りすればするほど、不安と自己嫌悪が積み上がることも、
複数の研究で示されています。
では、この「予定を入れたくない」気持ちと、どう付き合えばいいのでしょうか。
抵抗感をやわらげる、現実的な工夫
ここからは、研究の知見と、私自身の実践を合わせた
「日程の抵抗をやわらげるための、小さな工夫」を紹介します。
1 予定の「サイズ」を小さくする
いきなり大きな約束を入れず、
時間や内容の“サイズ”を小さくすることで、脳の抵抗はかなり減ります。
・終日ではなく「90分だけ」
・毎週ではなく「まずは1回だけ」
・半年先ではなく「まずは来月だけ」
行動科学では、こうした“小さく切る”ことが
行動変容の成功率を高めるとされています。
2 予定には、必ず「余白時間」をセットにする
自己決定理論でいう「自律性」は、
“自分の時間をどう使うかを、自分で選べる感覚”です。
だから、先の予定を入れるときほど、
その前後に「予定を入れない時間」をあえて確保しておくのがおすすめです。
・この日は午前中だけ予定、午後はフリーにする
・週末は必ずどこか一日は“完全オフの日”にする
こうした余白があるだけで、
カレンダーの窮屈さはかなり変わります。
3 「約束」ではなく「実験」として予定を入れる
予定を、
「絶対に成功させないといけない約束」ではなく
「自分の反応を観察するための実験」
と位置づけ直してみてください。
・このペースの予定は、自分には多すぎるかな?
・この相手と会うと、終わったあとどう感じるだろう?
・この時間帯は、自分には合っているだろうか?
これは、研究で「フィードバック学習」と呼ばれている考え方です。
うまくいったら「自分にはこういう予定が合うんだ」と分かるし、
しんどかったら「次は少し変えよう」と学びを得ればいい。
正解探しではなく、実験と調整。
この視点を持つと、先の予定への怖さは少しほどけていきます。
4 一日の「決断の数」を減らす
決断疲れを防ぐために、
日常の小さなことほど“あらかじめ決めておく”のが効果的です。
・朝のルーティンを固定する
・服はあらかじめパターン化しておく
・食事の選択肢を少なめにする
こうして「小さな決断」の数を減らしておくことで、
大事な予定を決めるときに、エネルギーを残すことができます。
5 感情のケアを、予定より優先してあげる
不安、怖さ、過去の痛みが強いときは、
予定の話に行く前に、「その感情」を扱ってあげる必要があります。
・ノートに正直な気持ちを書き出す
・信頼できる人に、一度だけ気持ちを話す
・専門家のカウンセリングを使う
研究でも、感情を言語化することは、
ストレスの軽減や自己理解の促進に役立つとされています。
予定は、そのあとでゆっくり決めればいいのです。💓
源 ゆうがやっている「一回15分だけチャレンジ」
最後に、私自身の小さな実験もシェアします。
私は今、「一回15分だけ行動を変えてみるチャレンジ」をしています。
・タイマーを15分にセットして、その時間だけタスクに集中する
・終わったら必ず一度ストップし、続きは“自分の気持ちを見てから決める”
行動科学的に見ると、これは
・行動のハードルを下げる
・決断疲れを起こさない
・小さな成功体験を積む
という意味で、とても理にかなった方法です。
「たった15分」でも、
心はちゃんと「私は動けた」と認識してくれます。
もし、先の予定を入れるのがしんどいなら、
いきなり何ヶ月も先の約束をするのではなく、
「今日、この15分をどう使うか」
ここから一緒に整えていきましょう。
あなたへの愛と感謝を込めて。
あなたの毎日が、穏やかな選択と、静かな自信で満たされますように。💓