廊下の突き当たりに後堂があって、阿弥陀堂と御影堂を結ぶ長く暗い廊下がある。
そこを後堂と呼ぶ。
確かに廊下と言うには広く長く天井が高い。まさに阿弥陀堂と御影堂の後にある堂。後堂の名がふさわしい。
昼でも小さい窓から入る明かりの他には灯明のほのかな明かりしかない、
ましてや早朝4時頃は真っ暗で、年積に黒光りする木肌が灯明に照らされて
微かに揺れる陰影が後堂の闇を照らす様は、いっそう闇を際立たせている。
朝事の準備が終わって、天井から吊るされたムシロで仕切られた廊下に正座をして待機している。
ご門首やご連枝が入内してきた。長く暗い廊下の向こうから歩いてくる。
最初は白い足袋がくっきりと見えてくる。
ムシロで仕切られているので直接全体を見ることが出来ないのだがまるで大名行列のように近づいてきたら正座のまま廊下に頭を垂れるので、顔を左に向ければムシロの隙間から
姿を見ることが出来るのである。
白い足袋に続いて五条袈裟の金糸の部分が照らされすぐに人影全体が等間隔に備え付けられている灯明前で明らかになりそこを過ぎればまた足袋が歩いてくる。そうやって一人二人と後堂に集まる。
慣れない早起きと仕事に興奮しつつもあたまがボーとしているせいか、まるでちょんまげの時代にタイムスリップしたような感覚になる。
この黒光りした廊下を何人ものご門首やご連枝や僧侶が往来し踏みしめられてきたのだ。と思いながら冷たい木肌に頭を垂れた。
その長い歴史に感動するというよりも、自分がこの場所にこうやって正座しているのが不自然なような気持ちと、ずっと昔から当たり前のようにこうして来ていたような思いが交錯して、
不思議な気持ちだった。
いつの間にか僕は後堂を御影堂の方へ歩いている。すると数いるご連枝の中でも一番気のよさそうな連枝とすれ違った。
すれ違いざまに顔を見たが、まるで僕のことに気づいていないかのように顔をまっすぐとゆっくりと阿弥陀堂へ向かって歩いていった。
僕もそのまま御影堂へ進むと薄暗い先に木造作りにはふさわしくない鉄製のドアがあり、ノブを引いて中へ入っていった。
そこはまるで最新の病院の廊下のように洗練されたている。蛍光灯が継ぎ目なく天井に配置され、まるでタイムスリップから戻って来たようなギャップ。
私服の従業員が忙しそうに往来している。
こんなところが本山にあったっかな? と思いつつも明るい廊下を歩いていると様子が変わってきて、廊下には初期の昭和の雰囲気が漂ってくる。
「増設される前のエリアだな」と思いながらさらに歩いていくと一角の部屋でなにやら作業をしている。
長さ3メートルはある和紙にカズさん のような方が書をしたためている。
「こういう場合はこうやって書くと良いんだよ」。と言いながら一気に書を書き上げている。
よく見ると壁にはすでに仕上がった書が二幅垂れ下がっていて、力強い漢文の書が仕上がっている。
「何をしているのですか?」
と尋ねると、
「ああ、地獄祭りの準備ですよ」
と答えた。
「?」
「地獄祭り?」
なんじゃそれ!?
しかし、なるほど確かに仁王大王のみごとな墨絵が二幅の書のそのさらに少し向こうの壁に掛けてある。
それにしても本山で仁王祭りって!
いぶかしく思いながらも
この書はなんと読むのでしょうかと聞くとすぐに答えてくれたが、その内容は忘れてしまった。感心したのだけは覚えている。
その部屋から別の部屋に入ると、そこは先の御影堂のように真っ暗で木造作りの部屋になっていた。
電子機器で人工的に作られた音楽が鳴っている、断続的に同じリズムを刻んでいる。
おそるおそる入っていくと奥に大きな神棚のような据え棚があり、その奥に木造作りの閻魔大王が据えられている。
暗さに慣れてくると、彩色はなく木肌が見えており、誇りがかぶっている様から長年の間ほうっておかれているようだ。しかし京都国立博物館に展示してあった等身大の仁王像と同じ迫力が漲っている。ハニカム状の網で覆われていて触ることは出来ないようになっている。
棚の右側にはさらに通路があるようだが、明かりは一つもなく漆黒の闇で覆われているのでその先があるのか無いのかさえわからない。
急に恐怖にとらわれて引き換えそうと振り返ると長方形のスピーカーが三台等間隔に壁にあって、そこから音が鳴っているのがわかった。
そのスピーカーも年代物で、やはりハニカム状の鉄の網で覆われているが閻魔像と同じようにほこりにまみれている。
でもむき出しになっているスピーカーホーンの部分には誇りがついていないので、音楽はずっと昔から鳴りっぱなしだった事が今思えばわかる。
ホーンには浮き出る感じで不思議なマークが記されている。
なんのマークだったのだろうか?
ともかくその時は気味が悪くなりすぐにその部屋を出た。
まるでその音楽だけが閻魔像のお給仕をしていて、その音楽を食として閻魔大王は命を永らえてきてきたのだと直感したからだろうか? とにかく逃げるようにして出ていった。
部屋を出て早く研修に戻らないと!
廊下にはやはり沢山の職員らしき人が足早に往来している。
「地獄祭り」そんなに大きなイベントなのだろうか?
明るい廊下を元来た方へいそいで戻って行くと前から来た女性と鉢合わせになった。
目と目を合わせる二人。
そして抱きあう二人。
なんでだろ?
今思えば不思議だけどもその時はとっても自然なことでした。
廊下には沢山の人がいるのに誰も気にしないし、私たちも気にしない。
さらにきつく抱きあうと耳元で
「女性を抱きしめるときは、ちゃんとお尻をぎゅってするのですよ」
と諭すように、しかしやさしく気づかうようにささやくので。
「あっ それはどうも」
と言われるとおりにした。
抱きあった後、ふたりとも無言のままお互いの目的のほうへ歩き出したが、
少々名残惜しく、さりげなく振り返ると女性はズボンをちょうどおしりが丸々見えるくらいに下げたままにして歩いている。
あら?
ズボンあげるの忘れているのか?と思った瞬間
むこうに歩いているはずの女性の声が耳元で、
「地獄では抱きあって気に入った場合は、ギュッとされたお尻をだしたまま去っていくのが作法なのです」
と両方のおしりをポッと赤らめながら教えてくれた。
ああ。ここは地獄か。 と思いながら研修の場所に戻っていくところで目が覚めた。
そんな
壮大な夢を見た。
とってもリアルでした。
そして目が覚めたら10時半でした。
私は言われたとおり、本山で研修を受けていたのです。
リアルお朝事にもちゃんと出ました。ロストしてません。
その辺を御理解ください。
それにしても浄土の荘厳の裏に地獄がある夢は、なんだか考えさせられました。
しかも閻魔様の横の
暗闇の奥ではなくって、明るい場所が地獄だったという結末にぞっとしました。
不思議と夢の中では 「ああ、そうなんだ。」って冷静なのがまた怖いです。
ps この夢のことを日本の友人に話したら
「単なる欲求不満でしょうと言われました」
そうかな~?
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ちなみに女性のパンツの色は赤い花柄模様でした。
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