石元さんの再審請求事件において、
弁護団は、石元さんが六本木から
自宅マンションに帰る際に乗車した
タクシーのドライブレコーダーが
最も重要な証拠であると考え、
検察官に証拠開示を求めてきました。
これに対し、検察官は、捜査機関が
上記ドライブレコーダーを証拠として
入手したことはないと回答し、
石元さんの「後足」（犯行後の被疑者の
足取りのことを言います）の捜査についても、
これまで裁判で「画像」（静止画）しか
証拠提出されていなかった防犯カメラの
「映像」（動画）を再審請求事件において
初めて開示し、当該防犯カメラの映像に、
石元さんが帰宅の際に乗車したタクシーの
映像が映っていないことから、
そもそも捜査機関は帰宅時のタクシーを
特定できておらず、それ以上に「後足」の
捜査は行っていないと回答しました。
しかし、捜査機関は、石元さんの「前足」
（犯行前の被疑者の足取りのことを言います）
については、徹底した捜査を行っています。
捜査機関は、防犯カメラ等により、
石元さんが自宅からロアビル付近まで
乗車したタクシーを特定し、タクシーに
設置されていたドライブレコーダーを
入手しており、ドライブレコーダーの
「画像」、車内での会話内容まで証拠として
提出されているのです。
「前足」と「後足」を追うことは、
捜査の基本であって、石元さんを主犯格として
マークしていた捜査機関が「前足」だけ
徹底した捜査を行って、「後足」の捜査を
なおざりにすることは考えられません。
そこで、弁護団が、当時の石元さんの
自宅マンションから、石元さんを乗せた
タクシーが通行したであろう道のりを
六本木へ向けて遡りながら、
聞き込み調査を行ったところ、
捜査機関の求めに応じて、
防犯カメラの映像を提供した周辺住民の方が
いることが分かりました。
つまり、捜査機関は、上記既に開示された
防犯カメラの映像の分析以外に「後足」の
捜査を行っていないと回答しておきながら、
実際には、石元さんの自宅の周辺住民の方に
防犯カメラの映像を提供させるなどしていた
ことが明らかになったのです。
上記防犯カメラには、石元さんが帰宅時に
乗車していたタクシーが映っている可能性が
高いと考えられますので、弁護団は、
先日開かれた裁判所、検察官との三者間の
打ち合わせにおいて、検察官に対して、
上記周辺住民の方から提出を受けた
防犯カメラの映像を開示するよう強く
求めました。しかし、検察官の回答は、
「そのような防犯カメラ映像は存在しない」
というものでした。これに対し、捜査機関に
防犯カメラを提出したという方から
直接聞き取りを行った弁護団が納得できず、
更に検察官を追及すると、検察官は、
「正確には、当時、（周辺住民の方から）
防犯カメラの映像につき任意提出を
受けていたが、既に廃棄したので、
現在は存在しないという意味である」
と釈明しました。検察官が廃棄したという
防犯カメラの映像に石元さんが乗車した
タクシーが映っていた可能性があり、
これによりタクシーを特定して、
ドライブレコーダーの存在を明らかにできる
可能性があります。
捜査機関が既にドライブレコーダーを
入手しておきながら隠蔽（もしくは破棄）した
可能性もあります。弁護団は、検察官に対し、
上記任意提出を受けた防犯カメラ映像が
廃棄された事実の確認、当該防犯カメラ映像の
分析等を行った捜査報告書の開示などを
強く求めて、引き続き石元さんが帰宅の際に
乗車したタクシーの特定に注力していきます。
（文責 弁護士 小林 徹）
～石元太一氏に公平な裁判を～
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