コタマガイ・あさり・あおさがい・おきあさり | 能登のさかな

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能登は四季折々にいろんな魚が水揚げされます。お魚屋やさんではみられない魚も海辺や市場に行けば沢山みることができます。そんな魚たちを紹介していきたいと思います。

 コタマガイは石川県の中でもいろんな名前で呼ばれています。「あさり・あおさがい・おきあさり」です。

 

 結構紛らわしいですね。標準和名のアサリは七尾湾に生息していますが、コタマガイが生息する外浦の砂浜域には生息していません。そのため、この海域であさりと言えばコタマガイを指すことになります。

 

 あおさがいは聞き慣れない名前ですよね。水管を出す部分に海藻が付着することがあるので、海藻のアオサの名前が付いたと聞いたことがあります。

 

 おきあさりは雰囲気が伝わる良い名前ですよね。ところが、標準和名のオキアサリがいるので紛らわしいんです。オキアサリコタマガイと見た目がそっくりです。日本海にも分布し、コタマガイと同じ開放性砂浜域に生息します。このため、石川県では両種が混じっている可能性があります。但し、かほく市から内灘町の砂浜域で約30年前に貝類の調査を行った際には、オキアサリは見つかりませんでした。

 

 オキアサリコタマガイと比べると、腹縁がより直線的で、かつ殻頂が尖っています。より正三角形に近いと言えます。当時、調査で採集した個体の中で、オキアサリっぽいものを選別し、殻高÷殻長の数値を統計的に検定してみました。するとコタマガイとの間に有意な差があることがわかりました。

 

 両種が存在するのではと思い、波部忠重先生にお願いしてサンプルを見ていただきました。結果、両方ともコタマガイですと丁寧なお返事をいただきました。ということで、オキアサリを確認することはできなかったんです。

 

 これは、私がおかした統計学の誤用例です。同じ種であっても個体差があり、その変動は正規分布をすると考えられます。正規分布の端っこの個体を私が選別してしまったら、統計学的に有意差がでても当たり前の話なんです。全体の傾向をみた時に、2つの正規分布が認められるようであれば、2種の存在が疑われるわけです。

 

 少し専門的になってしまいましたが、統計学も使い方を間違えると、悲惨な結果を招くというお話です。

笑い泣き

 

いろんな模様のコタマガイ

 

水管を出したコタマガイ

 

 

 石川農林水産統計年報をみると、コタマガイは1983年に1,427トンを記録しています。すごいですねぇ!今はというと、統計上の数字が見当たらない状況です。

笑い泣き

 砂浜域の二枚貝類は資源の変動が非常に大きいことが知られています(イタヤガイも同様です)。近い将来、大発生してくれることを望んでやみません。

ニコ

 コタマガイは主に貝桁網で漁獲されます。碇を投下してから、100mほど移動し、貝桁網を投下します。その後、ウインチでワイヤーを巻いて、ゆっくり碇の方へ移動しながら桁網で砂底の貝をすき取ります。貝桁網の爪の部分は鉄製で、遠目には櫛のようです。

ガーン

 

貝桁網の操業図

 

貝桁網の爪の部分