我が町では午後五時に市役所から何故かムーン・リバーが流れる。
仕事が休みの日にこの曲が聞こえてくると、そろそろ飲みに出かける準備でもするるか、という気持ちになる。そんな曲。
そのムーンリバーを非常階段で唄うオードリー・ヘップバーンと、彼女を上の階の窓から見下ろす若きジョージ・ペパード。
ジョージ・ペパードというとどうしても特攻野郎Aチームでのハンニバル・スミス大佐役がお馴染みだけれど、この頃の彼は甘いマスクとチャーミングな笑顔で非常に二枚目俳優だったんだなぁと改めて思う。
あの時代のニューヨークの風俗、社交会や街並みの様子が興味深い。よく出現するphony というスラングというか言い回し、ホールデン少年が口癖のように言う「インチキ」な連中というあの雰囲気がいいですね。
コケティッシュという形容詞がまさにピッタリのホリーの魅力がどう受け止められるか、という一点にこの映画の真価ではないかと。
2024年5月
