ゴジラ -1.0 | Manhattan Beach Video Archives

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いしいるかの観た映画

もちろんいろんなゴジラ映画があっていいと思う。
 
公開時もいろんなところで言われていた事みたいだけれど、ドラマパートをどう評価するかが、おそらくこの映画のキモではあるのだろう。
 
そういう意味では、個人的にはちょっと好みではなかったなあ。
 
特撮パートの映像は非常に優秀で、ゴジラが駆逐艦を次々撃沈し、銀座に上陸して縦横無尽に暴れ回り熱線を放射するシーンは痛快ではあったけれど、なすすべもなく都民が踏み潰され逃げまどう場面を人間ドラマとしてしつこく描写するのはなんか違うなあと感じた。
 
更に言えば戦後に震電が実は現存していたよ、整備すれば飛ぶよ、というのは流石にあざとい。
特異な形状の全翼型の戦闘機がゴジラの周りを飛び回るシーンは美しかったが。
 
そのゴジラが何故海から上がってくるのか、何故暴れ回るのか、どこに向かおうとしているのか、そして周りをブンブン飛ぶ戦闘機に苛立って簡単に海に誘導されてしまうのかの理由付けが希薄なので、いさかシナリオの説得力の弱さを感じる。
 
こうしてみると、よく、引き合いに出されて良くも悪くも比べられる作品があるけれど、むしろ逆に人間ドラマはあちらの方が優れていたように感じるんだよなあ。
 
劇中いろんな人が感動的なセリフを言おうとしているようなんだけれど、ヤ⚪︎オリ作戦決行前の矢⚪︎蘭堂の演説ほどは、どのセリフも心を動かされないんだよね。
 
ワダツミ作戦なる素人目にもキテレツで荒唐無稽な作戦(潜水病で殺す!)が、案の定全く役に立たず、結局震電の特攻で決着するというシナリオ。
 
崩れ落ちて海中に沈むゴジラに次々と敬礼するメンタリティも全く意味がわからん。
ましてや典子が実は生きてましたというラストシーンには何をか言わんや。
 
・・・しかしながら、
 
世の中の評価は高い作品なので、きっとワタシの感じ方が異常で偏向していて何処かがズレていておかしいのだろう。困ったもんだ。
 
2024年5月