密室である航空機内で、サイコパスのテロリストがバイオテロを起こし、パニックになった機内の乗客乗員と、地上の捜査関係者、政府要人、家族たちを描くアクションスリラー映画の良作。
物語が進むにつれ、混沌とした人間関係や、登場人物の正体、背景が徐々に明らかになる手法も見事。
着陸を拒否して引き返すように要請するアメリカも大概だが、当該機が非常事態を宣言した後の、成田への着陸を拒否して、あまつさえ自衛隊機に威嚇射撃や体当たりをさせようとしてまで追い返そうとする日本の対応の描写は酷い。
これはまあ、彼の国でよくある日本を悪者にする演出なのかなあ、と思って見ていたら、その後何と自国ですら着陸を拒否して、最終的には撃墜させろとする世論を描くあたり、なかなか人間のエゴと良心との葛藤の極めて難しいところまで抉ってくる脚本。
ドビュッシーのベルガマスク組曲「月の光」をラストシーンに使った映画、他にもあったよなあ、と思って色々考えながら全部ハングルでちっともわからないエンドクレジットを眺めていて、ああ、「オーシャンズ11」だったと思い出した。
それにしても
やっぱソン・ガンホだよなあ！
彼が出るとスクリーンがやはり締まる。いい役者だ。そしてイ・ビョンホン。非常に良かった。
2023年11月