鑑定人のための鑑定会社の選び方 初級編 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

交通事故鑑定人に限らず、鑑定人は大きく分けて3種類の報酬を得る形態がある。
一つは、調査鑑定会社に雇用されて会社員としての報酬を得る方法。
サムライに例えると仕官といえるだろう。
もう一つは、個人事業主として鑑定会社に所属する方法。
社の威光を借りるのだからいわゆるフランチャイズ鑑定人。
そして、自営で鑑定人を開業する方法だ。
バックが全くない頼りになるのは自分だけという野良鑑定人。
私の場合、経営者でもあるが野良鑑定人に近い。

今回は、鑑定人の為の鑑定会社の選び方と題し、初級編を公開する。

中級編と上級編は近々、有料ブログで公開するので暫し待たれたい。

【フランチャイズ鑑定人のメリット】
 メリットといえば、業務に恵まれることである。
 個人営業では比べものにならない集客力を発揮するからだ。
 このメリットは私自身が体感してきたものである。

 事実、私が前職に在籍した際、様々な一流の人々と交流を得た。

 工学・スタント・芸能・音楽・映像。文芸等々。

 何れも一流の人々である。

 個人ではそこまでの厚誼は得られなかったであろう。

【フランチャイズ鑑定人のデメリット】
 メリットもあれば、その反面でデメリットもある。

 フランチャイズの本質は生かさず殺さずといっても過言ではない。
 鑑定人独自のノウハウだけ吸収されて干されるリスクもある。
 私の場合、年間一千万円以上の看板料を支払ってきた。
 そのほかにも、ヤレ分担金だの様々な支出が避けられない。
 また、実務を知らない素人も加わるので社内調整に時間が取られる。
 私の場合、サービス業務が増え、個人の収支が社内調整に圧迫された感があった。

【鑑定人のための鑑定会社の選び方】
 重要なチェックポイントは、鑑定会社の経営者が鑑定技術者であるか否かである。
 鑑定実務に通じていなければ、専ら下らないマウントに傾注せざるを得ない。
 そうでもしなければ、自身の立ち位置を保持できないからだ。
 経営陣の能力に反比例して理不尽さは激しさを増していく。
 これら事象は鑑定会社のみならず、文系が頭の技術系の事業所では多い事象だ。

 いわば、銀行出身の娘婿が技術が売りの町工場を差配したときの混乱に似ている。

 ただし、こんな話は外から見えてこない。
 見極めるには既に辞めた鑑定人や従業員の声が参考になるだろう。

【一番難しいのは独立】
 鑑定人としての理想は、鑑定会社に所属し名前を売った後、円満に独立する事だ。
 しかし、鑑定会社にとって鑑定人は収益を産み出す資産でもある。
 そのため、独立時には資産を失うのと同じであるため何かとトラブルが多い。
 独立時のトラブルは士業や技術者に多いのと同じである。
 私の場合は、紆余曲折あったが何の条件や約定もなく縁が切れた。
 通常、従前の顧客からの受任には厳密な条件が課されるがその約定すらもない。
 専務取締役という役職を拝命していた身からすると破格の条件だ。
 金銭面、数々の逆転判決や無罪判決で社に寄与してきたからと自負している
 私は、前職から感謝状を付与されて退職した唯一の鑑定人だ。
 何ら条件を付与せず独立させて頂いた前職には感謝しかない。
 後輩鑑定人等には私と同様に円満に羽ばたけるよう、大いにエールを送りたい。

   合掌