交通事故鑑定 依頼の方法3 意思疎通 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

相談を受ける際の条件は先の記事に書いた通りだ。
http://ameblo.jp/ishibashi-kantei/entry-12178743107.html

   

以前の話であるが、書面を送付さたのだが相談に応じれなかったケースがある。
意思疎通が適わなかったからだ。。
相談者は電話口で一方的に、裁判の不満をまくし立てる。
検察や裁判官を罵倒するのはまだ分かるが、自分の弁護士まで罵倒。
こちらが質問しても全て遮り、罵倒と不満を続け、会話は全く成り立たない。
相談者は完全に常軌を逸していた。
  

氏名から送付物の伝票と照合して事案の確認ができたのは、会話を初めて15分後。
開封されていない封書の前で私が二次使用の許諾について何度訴えてもお構いなし。
自分自身が置かれた境遇や関係者一同等の不満をまくし立てる。
つまり、「書面を見てもいいですか?」
たったその一言をいう猶予すら私に与えてくれないほど一方的に話し続けたのである。
相互の意思疎通が適わない以上、相談は不可能だ。
交通事故にまつわる書面は個人情報の塊である。
依頼者から閲覧の許可が得られない限り見ることはできない。
電話を切った後、書面は開封することなく返送した。
 
相談者は部長級の地方公務員で、一審では執行猶予なしの実刑判決を受けていた。
いわば、刑務所に収監されるか否かの瀬戸際で相談である。
ちなみに、収監間際の刑事被告人の精神状態は尋常ではない。
いわゆるテンパった状態であり、冷静に第三者の話など聞けないのが普通だ。
娑婆と受刑者との落差はあまりにも大きいため、常軌の逸脱度は社会的地位に比例する。
特に相談者は実刑判決が確定すれば失職であり、精神的切迫は相当なものであっただろう。
 
相談者の話と新聞報道などをを総合してみた。
余談であるが、新聞報道は警察発表を元に書かれている。
警察が事故をどう見ているか・・・・・被疑者が逮捕後にどういった言動を取ったのか・・・・・
複数紙の記事を深読みすれば、その概略を知ることができる。
事故態様は優先道路に側道から相談者の車が進入しておきた相手車が優先路。
しかし、車線変更の有無・衝突位置の精査によって覆る余地はあったかもしれない。
実際、超実話ミステリーで取り上げた事例も、優先路側の方が重い過失との認定を受けた。
無罪は無理にしても、執行猶予もしくは罰金刑という落としどころもあった筈である。
しかし、意思疎通ができなければ鑑定の受任は不可能だ。
交通事故鑑定を依頼する最小限の条件は相互の意思疎通である。