筆者は、FP活動の傍ら、都内の介護施設

でも仕事をしています。  


その体験から、

介護関連業界の投資の可能性を

まとめてみました。


新しく投資したい会社を探しておられる方は、

ぜひご一読下さい😊





  日本の高齢化で、着実に成長する介護業界


2025年は、団塊の世代が、いよいよ

後期高齢者になります。


団塊の世代とは、戦後の一番出生人口が

多い年代(1947〜49年生まれの日本人)

の人たちです。


2025年には、団塊の世代は、全て

後期高齢者である75歳以上となります。


高齢化率(65歳以上の人が日本人全人口

に占める割合)も30%を超える事が

予想されます。


高齢者が増えれば、それに応じて、

要介護の高齢者も増えます。


2000年にできた介護保険制度が、

この受け皿となっています。


令和に入り、介護保険の年間給付額は、

10兆円を超えています。


令和4年(2022年)の厚労省のデータです。



・介護保険のサービスを受けた人(年間)


652万人



・介護保険の年間給付額


11兆1192万円


介護保険のサービスは、介護保険から7-9割が支払われ、残りは自己負担です。自己負担の割合は前年の所得に応じて決まります。


介護関連企業を、介護保険からなるマーケットと考えると、日本における数少ない成長分野の1つと言えるでしょう。


その市場規模はすでに10兆円を超えており、

今後さらなる成長が見込めます。




  淘汰される中小規模の介護事業者



介護保険マネーを見込んで、数多くの企業

が参入しました。


例えば、学研やベネッセといった子供向け教育産業は、少子化による先細りに対応するため、すでにこの分野に参入しています。


その一方で、訪問介護通所介護(デイサービス)などの分野は、過去参入が比較的容易

だったこともあり、小規模事業者で

溢れかえっています。


こうした小規模事業者は、総じて現在厳しい

経営環境にあります。


コロナ禍による利用者減、

コロナ収束後のインフレによる

稼働コスト上昇。


これに追い打ちをかけるように、

訪問介護の介護報酬引き下げが、 

2024年4月の改定でありました。


加えて慢性的な求人難。

介護職の有効求人倍率4倍を超えています。

(事業者4社に対して、求職者1名の割合)


未経験者向け社員教育と

外国人労働者(海外特定技能生)の受入が

求人難解決には必要です。


が、これまで「少数精鋭」と「アウンの呼吸」

でやってきた小規模事業者がこれに対応するのは、

容易ではありません。 


研修や新人教育が鍵です。

しかし、多くの介護現場では、

マナーやコンプライアンスといった行政から指示がある教育はあっても、実技を新人に教える文化が欠如している場合が多いのです。



オペレーションの効率化のために、クラウドシステムの導入や、センサーによる見守りなど、IT投資も必要です。中小の介護現場上がりの役職者が、コンピュータの投資の判断をするのは容易ではありません。


これまでの個人の頑張りやノウハウに依存した労働集約的な業態から、サービスの品質管理が出来る体制に変換していく必要があります。


今後は規模の大きい事業者に収れんしていくのが見えます。


そう、上昇企業の中に、安定した需要を背景に、シェア拡大の可能性があるのです。



  介護関連銘柄のトレンド



さて、これまで書いた介護業界のトレンドをまとめます。


・今後は大手にが伸びる余地がある。

中小は淘汰される。


・慢性的な人手不足。


・外国人労働者にも対応てきる人材教育が必要。


・IT投資が、事業成長の可否を分ける。


こうしたトレンドを俯瞰すると、業界内のM&Aが進む事が予想されます。一定の規模がなければ、生き残っていけないでしょう。



  介護関連企業の主要プレーヤー



主要企業を取り上げ、全体像を描いてみたいと思います。

 

多業種兼業大手と専業企業の戦い

介護関連売上は1社200〜400億円程度が

多いようです。


なお、ニチイ学館、ベネッセなど、老舗の非上場化が近年進んでいます。これも淘汰が進んでいるからだと推測します。


また、全体に配当利回りが高い傾向があります。


これらを踏まえて、上場している主要プレーヤーをみてみましょう。




SOMPOホールディングス


証券コード8630(東証PRM)


SOMPOケアを運営。他に保険業。


売上 1.07兆円


時価総額 3.2兆円


介護関連比率 2.3%


介護関連売上 246億円


介護関連時価総額 739億円


配当利回り 3.45%


PER 13.94倍




セコム


証券コード9753(東証PRM)


セキュリティ事業を中心にメディカル事業


売上 3191億円


時価総額 2.18兆円


介護関連比率 7%


介護関連売上 223億円


介護関連時価総額 152億円


配当利回り 2.03%


PER 22倍(連)




学研ホールディング


証券コード9470(東証PRM)


売上 1641億円(2023)


時価総額 443億円


介護関連比率 50%(推定)


介護関連売上 820億円


介護関連時価総額 221億円


配当利回り 2.52%


PER 12倍





ソラスト


証券コード6197(東証PRM)


売上 1351億円(2023)


時価総額 430億円


介護関連比率 100%


介護関連時価総額 430億円


配当利回り 4.40%


PER 16.78倍

※ソラストは、医療事務と介護サービスが中心です。両者には相乗効果があり、介護関連比率は100%としました。


セントケア・ホールディング


証券コード2374(東証PRM)


訪問介護、デイサービス等


売上 431億円


時価総額 215億円


介護関連比率 100%


介護関連時価総額 215億円


配当利回り  3.13%


PER 9.99倍




ケア21


訪問介護、有料老人ホーム、等


証券コード2373(東証STD)


売上 101億円


時価総額 71億円


介護関連比率 100%


介護関連時価総額 71億円


配当利回り 3.52%


PER  - (赤字)




SOMPOホールディングスや学研、セコムのように多業種から参入した兼業の事業者は、時価総額や売上を、介護関連事業の比率で割った数値を出してあります。


これにより、介護専業企業との比較を試みました。



  兼業と専業どちらがよいか?



筆者は、過去にIT業界に在籍していました。


この時に、セコムの西東京エリアの

研究所に営業に行った事があります。


セコムは、セキュリティ分野の競争力強化のため、自社でセンサーやカメラを使った研究をたくさんしていました。何しろセンサーやカメラの精度が、セキュリティサービスの質に大きく影響します。


このときの技術の蓄積が、将来、労働者が不足する介護分野で大きく生きると思います。


SOMPOホールディングスのような、保険業界は、データセンサーやクラウドサービスの活用に豊富な経験を持っています。主要な国内IT事業者との関係も緊密です。


この2社が、労働集約的な介護事業者向けに、今後ITのソリューションを提供するのではないかと思います。


医療・介護の専業で伸びそうなのは、ソラストセントケアだと思います。介護事業の売上は、SOMPOホールディングスやセコムのような兼業より大きくなっています。


また、3%〜4%台の高配当を出し、投資家を集めようとしています。


介護保険という安定した収益基盤があるから出来ることでしょう。


売上で勝るソラストか、PERで割安感があるセントケアか?


近く、両社のもう少し詳しい比較を、近くまとめようと思います。


両社とも1単元100株で株価は1000円未満。10万円以下で、株式としては、比較的投資しやすい金額です。



時価総額が年商に届かない会社も多く、まだまだ過少評価されていると思います。



主要プレーヤーの1社売上平均300億円

として、非上場の会社を含む10社で 

3000億円(0.3兆円) 。


10兆円産業のわずか3%にしか過ぎません。


このようになっている理由は、福祉業界内で、非営利である社会福祉法人が、全体の相当数を占めているからと考えられます。


令和4年には、社会福祉法人の35%が赤字経営となっているそうです。

(福祉医療機構の経営分析参考指標より)


公立の図書館は、書店の経営を圧迫します。

片や本を売ろうとしているのに、もう一方で、同じ本をタダで貸しているのです。


社会福祉法人の存在も、公立図書館に似ています。低生産性、低利益でも、公共の名の下に、潰れず、存続するのですから。


労働生産性という指標があります。

企業の付加価値(利益)を労働者数で割った値です。


日本は、85,329ドルでOECD先進国の中で30位台です。昨今のドル高で値が大きく成りがちですが、数年前の1ドル120円としても、従業員1人で約1000万円の付加価値を産み出しています。


これに対して、社会福祉法人は、前述の経営分析参考指標によると、443万円とのこと。


もっと民間企業が参入して、生産性を上げていく必要があると言えましょう。


今後、この分野の「民営化」と適度な寡占化を進めることが、業界の改革になると、考えます。



  介護関連業界のまとめ


10兆円産業となった介護関連業界。


高齢化の進行という成長要因と、人手不足とそれに伴う教育投資、IT投資という制約要因があります。


中小の淘汰が進む中、将来勝ち残る企業を

見極めることで、将来大きな投資成果を

得られる可能性があります。


高配当で、長期保有に向いている点も、

心に留めて置きましょう。


介護関連分野を株式投資のポートフォリオに

検討されている方は、一度コチラの講座

を受講されると良いかと思います。



(ファイナンシャルプランナー、日本FP協会CFP認定者、介護職員向け実務者研修を修了)



最後に、一言です。

※ここに書かれているのは、筆者の知見に基づく一般論です。例にあげている実際の金融商品の原稿作成時点のデータです。実際の投資で同様のリターンが得られることを一切保証しません。投資は、ご自身の判断に基づいて行って下さい。また、このブログでは特定の金融商品を推奨、勧誘することは一切ございません。