第2929段 連作「北海道を」 その29花咲港の海獺
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和6年五月上旬の3日
その男の所属する短歌の結社である「桃の会」の
発行する季刊誌の「桃の会だより」57号に
『北海道を』をと題し連作43首を発表し
評価を世に問ひけり。
その連作の第29首目は
今行かば 海獺見ゆると 聞きしかば
急ぎい向かふ 花咲港
花咲港は花咲蟹の水揚げ港として有名な根室市にある港。
地名の由来はアイヌ語の「ポロ・ノッ」(大きな岬)の意から
大岬→鼻埼→花咲へと転訛して定着せしとぞ覚えけり。
而して、海獺の噂を信じ直ちに向かひ
海を見続けること数時間に及べど
遂にその海獣の姿を見ること叶はず無念なり。
その男の日頃のオコナヒのせいかは定かならず。