新編・伊勢物語 第2692段 死んでも悲しむ者のゐない悲しみ 星原二郎第2692段 死んでも悲しむ者のゐない悲しみ 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、令和5年10月上旬の或る日 五十代にて逝去せし同窓の友を思ひ出し 歌を 惜しまれて 逝きたる友を 羨(とも)しとぞ 老いたる今は 酌みつつ偲ぶ 熊本の民謡である「五木の子守唄」の 一節に「おまえが死んだなら♪ (誰が泣いてくれる だれも居ない) ただ裏の松山で蝉が泣くだけ♬」 との歌詞があり、死んでも悲しんでくれる者のゐないのは なんと悲しいことであらうか との嘆きをいだきけり。