第2441段 昭和がただよふ恵那ラヂウム温泉館
昔、男ありけり。今も男あり。
その男令和5年1月中旬の或る日美濃の国は
恵那市にある恵那ラヂウム温泉館へと行き
平日なれば貸し切り状態の広き湯に寛ぎ
歌を
懐かしき 固形石鹼 擦り減りて
小さきが一つ 昭和がただよふ
その男、自称なれどの露天と室内を問はぬ
岩風呂の評論家にて、その男のべスト20以内には
間違いなく入る見事なる大岩の配置されたる
大浴場は閉鎖され、こじんまりとした浴場のみに
湯が満たされてゐたれば残念なり。
されど湯の質はよく昭和の御世には
大いに流行りたる事を偲ばせけり。
また玄関前の巨大なる岩の敷石の
価値は数億円とぞ覚えけり。
されば、万が一コロナ禍により客の減少が続き」閉館と
なれどもその敷石のみは保存を願ひけり。