第2148段 橘寺の二面石と対峙
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和4年3月15日付けの
立春知立短歌会の季刊発行の歌誌『立春』275号に
【明日香の古代の石の物語】と題し
連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その10首目の作は
橘寺 境内に据えある 二面石
善悪の相は 裏表とや
この歌の心は明日香村の古き社寺の一つの
橘寺を参詣し境内に鎮座の通称名「二面石」と
対峙して後に生まれたる作なり。
この石もまた摩訶不思議なる造形にして
人間の持つ性善説と性悪説とを表すとも伝へられ
彼の天才科学者のアインシュタイン博士の
相対性理論を敷衍し造形せしが如くにて
明日香人の高尚なる知恵と表現力に圧倒され
唸る他なく立ち去り難く時間のみが過ぎ行きけり。