新編・伊勢物語 第1997段 栞の如き一筋の髪 星原二郎第1997段 栞の如き一筋の髪 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 令和3年9月の或る日 コロナ禍により家籠り 短歌会の供覧の歌書を読みゐて 歌を 供覧の 歌書読みゆけば 誰(だ)がものか 栞(しをり)のごとき 一筋の髪 と詠み、その髪の毛の長さから女性のもので あることは疑ひはなし。 会員の誰かを推理して頬杖をつき 眼を閉ぢ想像力のあらむ限りを働かせて しばしの時を過ごしけり。