第1793段 露天湯にて傾蓋故の如く
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和3年2月の下旬となり
冬ごもりとコロナごもりに飽きたれば
蒲郡温泉郷の「ラグーナの湯」へと行き
知り合ひたる男としばし温泉談義を
取り交はし歌を
露天湯に 傾蓋故の如く 語らひて
また会はなむと 言ひて別るる
と詠み、「サヨナラダケガ人生ダ」と言ひたる
井伏鱒二を思ひ出しけり。
※「傾蓋故の如」とは中国の古典の『史記』に出でくる言葉にて
少し会っただけで旧知のやうに親しくなること。