第1706段 初めての店で注文に迷ひて
昔、男ありけり。今も男あり。
その男 令和2年11月下旬
因幡の国は米子にある蕎麦屋の名店
「ひの木屋」を訪れ
歌を
見回して 同じものをと 注文す
はじめての蕎麦の 店に迷ひて
と詠み テーブル席のはす向かひの
四十代の会社員らしき男の手繰りゐる蕎麦を頼みけり。
その折、その会社員の男、その事に気付きたれば
軽くアイコンタクトにて会釈を送れば
笑顔にて会釈を返されけり。
美味なりと食べ終へし後
伝票を見遣れば「蕎麦定食」なり。
而して会計支払ひの折は
その男の誉め言葉である
「また来よう」の台詞を告げ
店を出でけり。