第1657段 信濃路を信濃時雨と気取りつつ
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和2年10月の上旬
信州は小布施町に住む大学時代の同級生を訪ね行きけり。
行きて再会を果たし旧交を温めたるその後に
同級生と別れ、独り北信濃を彷徨ひ行けば
初時雨に遭ひ
歌を
信濃路を 信濃時雨と 気取りゆく
旅の心は いや優りつつ
と詠みけり。
「旅の心」とは明治40年 ジョン・P・オードウェイの
楽曲を犬童球渓が翻訳せし唱歌の『旅愁』の
詩の一部である
「更け行く秋の夜
旅の空の
わびしき思いに
一人悩む
恋しやふるさと♪」
の歌詞に重なる想ひなり。