第千五百八十六段 海峡を眺める吉田松陰とその男
昔、男ありけり。今も男あり。
その男 令和二年七月上旬
陸奥の国は津軽半島の岬の竜飛へと行き
歌を
海峡に 日本の行く末 案じける
松陰若く われは老いつつ
と詠みけり。
松陰とは勿論 幕末の思想家にして革命家と
いへる長州の吉田松陰のことなり。
彼は黒船来航の折 黒船に乗り込み
密航を企てたる前年
日本の国防のため海岸線を視察の旅に出で
はるばるとこの津軽半島を経廻り
思索を深めけり。
両者の違ひは時代とその行きたる年齢にて
国の行く末を案じる《高き志》は同じとぞ覚ゆ。