新編・伊勢物語 第千四百六十九段 慣用句の歌【ぬるま湯に浸かる】 星原二郎第千四百六十九段 慣用句の歌【ぬるま湯に浸かる】 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、令和二年の或る月の或る日 昨年の秋に魚沼市での短歌大会に参加し その時の宿に選びたる温泉宿の 温度の低さに歌を ぬるま湯に 首までつかり 一時間 出るに出られぬ 栃尾又温泉 と詠み 常連の湯治客は 慣れたものにて のんびりとつかり過ごしゐるのを目にし その男も常連客の如く振る舞ひけり。 而して、湯治の効果は一泊二日なれば 期待をするが無理とぞ覚えけり。