新編・伊勢物語 第千四百六十五段 慣用句の歌【不幸中の幸ひ】 星原二郎第千四百六十五段 慣用句の歌【不幸中の幸ひ】 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、令和二年の或る月の或る日 かって青信号にて交差点の歩道を渡りたる折に 右折して来し乗用車に刎ねられ怪我を負ひたる 日の事を思ひ出し歌を 不幸中の 幸ひならむ 交通事故の 被害に遭へど 命たすかる と詠み 加害者曰く「右折前方を見ていなかった」 との証言を思ひ返しけり。