第千四百四段 この年の初夢は
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和二年一月二日の朝
起き出でてその日の未明に見たる夢
つまり初夢を歌に詠みて曰く
蚊に刺され 痒くてかなはぬ わが腕(かひな)
夢にしあれど 掻くが可笑しき
と詠み 夢とは云へ冬の最中のこの時期に
夏の風物である 蚊に刺されたる夢とは如何に。
してこの夢の暗示する事を慮りけり。
更に蚊に刺されたるは夢の中なれども
上腕を掻きたるは夢に非ず。
「夢判断」を著したるオーストラリアの精神医学者の
フロイト博士に判定を願ひたき思ひ募れり。
而して、歌の作品としては【ka】の頭韻を踏みての
出来は如何にや。