新編・伊勢物語 第千三百七十六段 村上の鮭 其の参 星原二郎第千三百七十六段 村上の鮭 其の参 生(あ)れし川の 水の記憶を 頼りとし 戻りくるとぞ ダムな造りそ 記憶力 あやしきものも 方向音痴も 数ある中には 鮭も居るらむ 雌(メス)に付き 母川と違(たが)ふ 川に来る 雄(オス)も居るらしと 漁師笑(ゑま)ひて ※鮭なれども、いはば人間くさき存在を想像すると 漁師の言にはこちらも笑ふ他なかりけり。