第千三百二十三段 丸岡城の彼岸花
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和元年十月の上旬
越前の国は丸岡町のある
日本最古の天守閣を持つ
丸岡城へと行きけり。
丸岡城の天守閣へと登り越前の平野を見下ろし
かっての戦国の世に想ひを馳せけり。
城を出づれば折からの彼岸花
いと面白く咲きゐれば
歌を
丸岡城 周囲の石の 間より
彼岸花一輪 さぶらひて咲く
と詠み 短き手紙で有名な
「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」
此の「お仙」とは初代城主の幼名なり。
「さぶらひ」とは「侍」の語源の古語にて
この場合は主君のおそば近くに控える
家臣に花を見立てての歌なり。