第千三百八段 隠岐の海 頑張れ
昔、男ありけり。今も男あり。
その男令和元年九月十八日の
大相撲秋場所の十一日目の
隠岐の海と剣翔の取り組み前に
歌を
優勝の 最初で最後の 好機なり
隠岐の海!頑張れ! 頑張れ!隠岐の海!
と詠み その男の息子が隠岐の海を贔屓にして
久しければ、テレビ桟敷より声援を送りけり。
而して、この歌の下の句
どこぞやにて聞いたやうな…
冷静になり分析すれば
今は昔の1936年のかのナチスドイツの
ベルリンでのオリンピックの
競泳女子200m平泳ぎの
決勝レースでの当時のNHKアナウンサーの
「前畑!頑張れ! 頑張れ!前畑!」
を繰り返し絶叫の中継を引用せしとぞ
覚ゆれども彼の日より時効なれば肯ひけり。
されど声援を送れども取り組みの結果は
あっけなく破れ去り優勝への可能性は
現実的には限りなくゼロに近い数値…
これまたかつての村上龍氏の1976年に
芥川賞を獲りたる小説『限りなく透明に近いブルー』の
タイトルの調べを借りたるとぞ覚えけり。