第千百六十段 愛読書の一冊
昔、男ありけり。今も男あり。
その男平成三十一年四月十一日の
立春知立短歌会の毎月開催の
月例歌会に次の歌
中学の 三年の時に 読みてより
今も親しむ 『奥の細道』
を事前に提出し臨みけり。
歌の心はその男の愛読書の一冊にして
その男の最も尊敬する詩人の一人である
松尾芭蕉翁を敬ひての作なり。
而して、その男の愛読書といへば
古代の卑弥呼の登場する「魏志倭人伝」
聖徳太子の書き著ししと伝はる「十七条の憲法」
朝ごと唱へる玄奘三蔵訳の「般若心経」
これらの書物は読む度ごとに新たなる
発見があり座右の書物といへるなり。
されども、歌会での評価は内容に具体性が無い
との指摘を受け残念ながら得票数は0なり。
初句と二句を「三五の 十五の歳に」とも考へしかど
推敲不足と反省しきりにて会場を去りけり。