第千二十段 才能の開花
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、文化の日にあたり
直木賞をはじめ多くの文学賞
文化勲章をはじめ多くの叙勲
長き下積みの末にヒット曲に恵まれたる歌手
長き下積みの末にヒット作に恵まれたる作家
長き不遇の末に手に入れたる栄誉の研究者
などなどの人々を思ひ
歌を
才能の 開花と人は 言ふならむ
影の努力を 重ねし人を
と詠みけり。
かってヒット曲に恵まれ
大スターの仲間入りしたる歌手の
森進一、上京の頃を振り返り曰く
「また売れなくなるのではと思ふと
猫の子一匹飼へない」と。
恵まれぬ若き日の事
永六輔氏の著書にて読みたるを思ひ出しけり。