新編・伊勢物語 第千十八段 露草の花 星原二郎 第千十八段 露草の花 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年の秋の 朝の恒例の散歩道にて 歌を 雨上がり 露草の花の 青冴えて 群れ咲きゐたる 朝(あした)すがしも と詠み 古代 この露草の花を摘み 染料とせしこと想ひ出しけり。 小さき花びらなれば、一枚の衣料を 染め上げるためにどれほどの量の花びらを 必要とせしか? また仕上がりは如何なる色と なりたるや? などなど思ひつつ野辺のあぜ道を歩きけり。