新編・伊勢物語 第千十四段 悲惨なる新聞記事 星原二郎第千十四段 悲惨なる新聞記事 昔、男ありけり。今も男あり。 その男平成三十年の秋の或る日の 新聞を読み 歌を 悲惨なる 事故と事件の 記事多き 朝刊なれば 朝より暗し と詠み 一連の障害者雇用数の水増しのみならず 耐震ダンパーの検査結果の数値書き換へ 振り込み詐欺、スマホ脇見での交通事故死 などなど怒りとため息と諦めに 秋が深まり夜明け前に届きたる新聞なれども 雲に覆はれて暗いせいのみならずとぞ覚ゆ。