第千四段 竜島温泉 せせらぎの湯にての質問
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年の秋
信州は松本市にある
竜島温泉 せせらぎの湯 へと行きけり。
行きて露天風呂にて寛ぎ
地元の住民との一期一会の会話を
楽しみ湯より上がる折に
更に声を掛けられ
歌を
湯上りに 尻肉群 張りありと
歳訊かれけり 笑みて応ふる
と詠みけり。
歌の心 首まで入浴なればその男の
白髪の頭部を見やりたる地元の住民
凡の年齢をかなりの年配と思ひしかど
湯上りの後ろ姿の肌の張りに
年齢を問ひて、思ひの外に若き齢なれば
驚きのさまを詠みたるなり。
笑ふより外なかりけるとぞ覚ゆ。