第九百八十一段 人殺し許されるのは
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年の秋の
刈谷市文化協会主催の第四回 文芸祭に
次の作を事前に提出し臨みけり。
人殺し 許されるのは 小説に
映画・演劇 歌は許さず
にて特選の通知を待ちけり。
しかして、九月十四日の新聞に
特選五首中の一つに選ばれ
掲載されたるを嬉しく読みけり。
歌の心は、小説も戯曲も短歌も同じ
文芸なれども虚構の創作を趣旨とする
小説・戯曲と違ひ
歌は心の真実の叙情詩なればの思ひなり。
しかして、刈谷市中央図書館にて展示の
この作の色紙の結句【歌は許されず】と
【さ】の一字加はりてをり
内容、大きく変はり許し難き思ひをいだけども
宥恕の心にて見過ごしけり。