第九百七十四段 古事記の土蜘蛛の真相
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年の晩夏
東京は上野の東京国立博物館での特別展
「縄文―1万年の美の鼓動」を観に行き
縄文時代から弥生時代へと移り
古墳時代となり
我が国初の歴史書とも言ふべき「古事記」に
縄文人の暮らしたる住居である竪穴住居は
茅葺の屋根に非ず 土葺の屋根との学説を信じ
縄文人から見れば侵略者である大和のいふ
「土蜘蛛」に違和感をいだき
歌を
土葺の 竪穴住居を 蔑みて
土蜘蛛とぞ呼ぶ 大和の歴史書
と詠みて 歴史書とはいついかなる場合にても
勝利者の目線にての見方なりとの
思ひを強くいだきけり。