新編・伊勢物語 第九百四十四段 旅の独楽吟 星原二郎第九百四十四段 旅の独楽吟 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十一年の夏 毎年恒例の友との温泉旅行のプランを練りつつ 歌を 楽しみは 旅のみ空に 仰ぐ嶺 雲思ひつつ 案を練る時 幕末の越前は福井の橘曙覧の 「独楽吟」に倣ひ「楽しみは」にてはじまり 「時」にて終はる歌を詠みけり。 旅の楽しみは旅行中のみならず 旅行の計画立案時、及び旅行より戻りて 旅行詠などを纏め時など有るなりと思ひけり。