新編・伊勢物語 第九百三十八段 於大の方様の嫁ぐ様子 星原二郎第九百三十八段 於大の方様の嫁ぐ様子 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年七月 刈谷市の亀城公園へと行きけり。 この亀城公園は戦国時代 代々、水野氏の居城にて かの徳川家康の御母堂の於大の方様の 出生の城なれば歌を 徳川の 御代の栄の いしずゑと 於大の方様 のち知らず嫁(ゆ)く と詠み十四歳の若さにて 戦国の世のならひとはいへ 政略結婚にて岡崎城主の松平宏忠のもとへと 嫁ぎ行く輿の行列のさまを思ひ浮かべけり。