新編・伊勢物語 第八百一段 野球道具 星原二郎第八百一段 野球道具 アメリカの父親は幼き息子に、三つの事から 教へ始める といへり。 即ちそは「釣とバーベキューの時の火の起し方とキャッチボール」と。 昔、男ありけり。 今も男あり。 その男も息子幼き頃、それに近きことを実行せり。 しかして、ある日 その昔を思ひ出だして 歌を 子と幾度 キャッチボールを せし日々も 遠くなりつつ グローブなほあり 結婚の 記念署名を したる球 色は褪せつつ 手許になほあり と 詠み 昔日を懐かしみけり。