新編・伊勢物語 第七百七十九段 桜島(前編) 星原二郎第七百七十九段 桜島(前編) 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成の或る年 鹿児島は 桜島へと行きけり。行きて「桜島・ふるさと温泉 古里観光ホテル」に宿を取りけり。名物は龍神が棲む といふ海辺の露天風呂なり。 早速、白装束に身を包み 湯を浴み 歌を 桜島の 宿の窓より 望み見る 錦江湾に 大き虹たつ 桜島の 波打ち際の 湯にひたり 薩摩半島 夕日臼(うすづ)く 龍神を 祭るいで湯に 浸らむと 白装束に 身をば包みぬ