第七百四十八段 歌の師匠の悲しみの歌
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成三十年正月のある日
短歌誌「桃」の昭和四十三年三月号の
山川京子師の連作を読み
「音立てて崩れ落ちたり…」
「…あまりにむごき仕打ちなりけり」
「逆さまに顔なでられし心地して涙も出でず…」
「大き失望心に抱き…」
「悲しみは薄れもすらめ失ひし信頼…」
等の歌詞を目にし
具体的なる事は理解し難けれど
歌を
かの年の かの日の先生の 身の上に
何起こりしや 訊くすべ知らに
と詠み 平成二十六年三月に逝去の
先生の悲しき出来事に今さらながらに心をいためけり。