新編・伊勢物語 第七百四十三段 老いの正月 星原二郎第七百四十三段 老いの正月 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成三十年正月の松の内のある日 歌を むらぎもの 心を古代に 遊ばせて 何ぞ楽しき 老いの正月 と詠み その男の最も関心を持つ 縄文時代の学術書を その年の読み初めと繙(ひもと)き 読み耽りけり。 (註)むらぎもの とは心に掛かる枕言葉。