新編・伊勢物語 第六百九段 姉への挽歌 其の壱 星原二郎第六百九段 姉への挽歌 其の壱 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年のある時期に 平成十九年七月七日に逝去せし姉への 挽歌を杳杳(えうえう)にして纏め 供養とて霊前に供へたる作は 突然の 甲状腺癌との 告知にて 余命一年 あらずとふ姉 病院に 姉を見舞へば 元気にて 筆談もて応ふ 笑顔優しも ふるさとの 延命息災の 兎足神に 姉たのまむと 参りしものを 延命の 処置をのぞまず 苦しみに 耐へて逝きしも 姉らしきかな