新編・伊勢物語 第六百六段 妙高山 星原二郎第六百六段 妙高山 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年の晩夏 越後の国の「日本百名山」の ひとつ 妙高山の麓なる赤倉温泉へと行きけり。 行きて、歌を 赤倉に 二日ゐて二日 霧蔽ひ 隠るる越の 神の名香(なか)山 と、詠み 名湯を心ゆくまで楽しみけり。 因みに、妙高山の古名は「名香山」。訓は「なかやま」なれど、 いつの頃よりか音読みにて「めうかう」となり、 「めうかう」の音韻より「妙高」の漢字が当てられ人口に 膾炙し今に普及せしと考へられけり。