第五百五十一段 荘川の寒晒し蕎麦
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十九年六月
飛騨の国は荘川の蕎麦の里へと
行く朝、歌を
荘川の 寒晒し蕎麦 六月が
解禁と聞き いざや行かまし
と詠み「蕎麦正」の開店前に到りぬ。
並びて、入店し寒晒し蕎麦を注文みけり。
店内の窓より見遣れば庄川 流れけり。
土地の名を「荘川」、川の名を「庄川」といふも
面白しと思ひつつ待ちけり。
して、出できし蕎麦を手繰り美味さに舌鼓を打ちけり。
されども、寒晒し蕎麦と普段の蕎麦との違ひを
理解しがたきと思ひけり。