新編・伊勢物語 第五百十一段 こまくさの湯から眺める駒ヶ岳 星原二郎第五百十一段 こまくさの湯から眺める駒ヶ岳 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十九年の四月の下旬 信州は駒ケ根の「こまくさの湯」に行きけり。 行きて露天風呂から 曇りなく晴れたる青空を背景に 神々しき駒ヶ岳を仰ぎ見て 歌を 残雪の 駒ヶ岳はも こまくさの いで湯にひたり 眺め飽かざる と詠みけり。詠みてしばし考へ 歌の初句は「新雪の」または 「雪多き」も良からむと思ひければ 駒ヶ岳に初冠雪の頃と 真冬の積雪量の多き頃 再び来むことを願ひけり。